こんにちは。Con tuttiスタッフの桐村です!
朝晩はとても涼しくなり、過ごしやすい季節になってきましたね。
秋になると夏の疲れも少しずつとれて、わんちゃんもお家・お外で活発になる子が多いでしょう。
けれどもここで意識しておきたいことは、足や腰に病気を抱えている子にとって、病気を悪化させずにお散歩や遊び、いつもの生活を楽しむことがとても大切だということです。
今回は飼い主さんからご質問いただくことの多い、わんちゃんの膝・股関節・腰(背中)に関わる生活の注意点についてお話しします!
ー今日の目次ー
1.犬に多い足や腰の病気
2.愛犬の足腰の異変に気づこう!その症状は?
3.なぜお家でのサポートが必要なの?
4.飼い主さんにもできる生活の工夫
犬に多い足や腰の病気
皆さんと一緒に暮らすわんちゃんの中には、痛みや違和感から歩き方に変化が現れ、獣医さんから足腰の病気を診断されたことがある子もいるのではと思います。
わんちゃんで代表的な歩き方に異常が出る病気はいくつかあり、
● 膝蓋骨脱臼
● 股関節形成不全
● レッグ・ペルテス
● 変形性脊椎症
● 椎間板ヘルニア
● 関節炎
などが有名です。
これらの病気は日本で飼育されることが多い小型犬だけでなく、中型犬以上の子でも発症しやすいものもあり、進行の仕方や程度もさまざまです。
そして、大なり小なりその子ひとりひとりの状態に合わせた生活の工夫が必要になります。
スタッフ車谷の愛犬・ボーダー・コリーのとぅわちゃんも、膝蓋骨脱臼で手術をしたことがあり、お家の中の環境をとぅわちゃん用にカスタマイズしました。
こういった足の動きに関わる病気は、手術で完治を目指すものもありますが、できるだけ進行を食い止める内科治療が選択されることも多いものです。
もちろん手術をした場合でも、できるだけ足腰に負担をかけないようにする生活が必要になるケースは多く、飼い主さんが愛犬の生活をコントロールしてあげることが大切です。
早い時期に愛犬の歩行の異変に気づくことで、治療の選択肢やお家でのケア方法の幅は広がります。
ぜひ次のような症状が出ていないかチェックしてみましょう。
愛犬の足腰の異変に気づこう!その症状は?
愛犬の足腰の異常に気づくのは、ほとんどが歩き方に異変を感じた時が最初の1歩になるケースがほとんどです。
■ 足の運びがぎこちなく感じる
■ 歩いている途中にスキップ(のような動きを)する
■ 足を引きずって歩く
■ 足を触られることを嫌がるようになった
■ 立ち上がる・座る動作に時間がかかる
■ おもちゃを追いかけたり、走り回ることが減った
■ 眠ったり、ぼーっと過ごしている時間が長い
歩いている時の変化はもちろん、シニア期の関節炎などでは、日々の活動性の低下もよく見られます。
しかし、若い頃なら少しでも元気がないと気になるものですが、シニア期の活動量の変化は「まぁ年だしな…」と、のんびり過ごしているようにも見えるため見過ごされがちです。
遊びに誘ってもあまり反応を示さなくなったり、お散歩をとぼとぼ・ゆっくり歩く、立ち止まることが増えた様子があれば、もしかしたら足腰の違和感から「動くことが辛い」と思っているのかもしれません。
10歳以上のわんちゃんでは、約50%に隠れ関節炎があるというデータもあります。
「うちの子は大丈夫だと思うけど…」というシニアわんこの飼い主さんも、一度こちらでチェックしてみてくださいね。
なぜお家でのサポートが必要なの?
こういった足腰の異常に対しては、
〇 進行をゆっくりにすること
〇 再発を防ぐこと
〇 動作の快適さをアップすること
を大きな目的として、お家でのサポートを取り入れることが必要です。
痛みが強い時や、放置することで歩けなくなるといった場合には、獣医師から薬の処方をしてもらったり、手術に踏み切ることもあります。
しかし、そもそも痛みが出る頻度が少なくなるように、「負担をかけないようにする」ということが大事なポイントになるのです。
負担をかけてしまう暮らしを続けていると、病気の進行を早めて治療の幅を狭めてしまうだけでなく、自宅での介護まで必要になる事態が、思っていたより早く訪れることにもつながります。
また、痛みや不快感は愛犬にとって心のストレスになり、
● 食事をする
● トイレに行く
● 快適な場所で眠る
● お散歩で歩く
といった、毎日当たり前にできていたことがしづらいという辛さを抱えてしまったり、今までは楽しめていたお出かけも喜べないといったことが起こります。
「自分の行きたい所に行って、したいことをする」
という快適さを守ってあげるためにも、病気を進行させない工夫を取り入れてあげたいものですね。
飼い主さんにもできる生活の工夫
足腰を守りながら毎日の暮らしを快適にするには、ちょっとした変更を取り入れてあげるだけでも大きく変わります。
もしも愛犬が足腰の病気を抱えている(過去になったことがある)という飼い主さんは、ぜひ取り入れてみてくださいね。
【1.床材の変更】
フローリングは掃除や衛生面を考えるとたいへん便利ですが、活発なわんちゃんや、筋力が落ちて足の踏ん張りが効かない老犬の場合、方向転換をしたり走っていて急停止した時にツルッと滑ってしまいがちです。
転倒のリスクはもちろんのこと、滑った時に関節が変な向きに曲がってしまうこともあるため、膝や股関節には大きな負担になってしまいます。
こういった時には、愛犬の生活圏内にあるフローリング部分に、
● 汚れた部分だけ洗うことができるジョイントマットやタイルカーペット
● フローリングに比べて衝撃吸収もしやすく、木目調などバラエティあふれるクッションフロア
を敷くといった方法で、お手軽に床材を変えてみることをおすすめします。
最近ではわんちゃんの足が滑りにくいように特殊加工されたフローリングも登場しているので、これから家を建てるという人はあえて最初に取り入れておくというのも1つの方法です。
また、すでにフローリングが全面に敷いてあるというお家の場合、滑りにくくし、かつフローリングを長く綺麗に保つことができる特殊なコーティングを行うプチリフォームを取り入れるお家も増えています。
【 2.段差や障害物をなくす】
足腰を悪くしがちなのが、高い所の昇り降りです。
これはソファーやベッドの高さだけでなく、玄関やお散歩コースの中にある段差も、痛みや不快感が足や背中にある場合は問題になりがちです。
膝蓋骨脱臼を抱えている子にとっては、たとえ体重が軽い小型犬だったとしても、ピョンと飛び降りた時にかかる膝への衝撃は大きく、膝のお皿部分が外れるきっかけになったり、関節を支える靭帯にグッと負担がかかってしまいます。
ベッドがある寝室や2階に向かう階段など、段差が大きい部分があるエリアには立ち入りを制限するペットゲートを活用したり、ドアを閉めて生活圏を区切ってあげましょう。
特にリラックス場所がソファーの上になっているような子は、床に近い部分を中心に愛犬用ベッド・毛布などを整えます。
時にはクレートトレーニングを行って、愛犬にとっての「安心して休める場所」を変更することも必要です。
【3.縦抱っこ、2本足でのジャンプを避ける】
小型犬でよくやってしまいがちな縦向きの抱っこも、腰への負担を思えば避けてあげたい姿勢です。
椎間板ヘルニアになったことがある子はもちろん、そのリスクが高い胴長短足のダックスフンド系のわんちゃんは、ぜひお尻をしっかり支えて両腕で抱える横向き抱っこを意識してあげてください。
また、抱き上げる時も脇だけで抱え上げてしまうと、同じく背骨に負担がかかります。
時には体重全体が脇にかかる影響で、抱え上げた瞬間傷めてしまう子もいるので、お尻も一緒にすくいあげるようにして抱っこしてあげましょう。
そして、飼い主さんのお出迎え時など、喜びのあまりジャンプしてしまう子は、これも同じく膝や背骨にダメージを与えがちです。
帰宅時に盛大にピョンピョンと跳ねてお出迎えをしてしまうなら、
1.すぐに構わずに一旦通り過ぎる
2.飼い主さんが服を脱いだりかばんを置いたりして時間を置く
3.愛犬が落ち着いたころを見計らって、膝をついた低い位置で構ってあげる
という手順をとるようにしてみてください。
「おかえり!」と出迎えてくれる愛犬はかわいいものですが、その時の姿勢はしっかりと注意して観察してみましょう。
【4. 爪切りはこまめに・足裏バリカンで滑りにくく】
愛犬のスムーズな歩行をサポートするなら、環境に加えて足周りにも注目してみてください。
どんなに床が滑りにくくても、足裏の毛がフサフサと生えていれば滑る原因になります。
また、爪が長い場合も、カーペットの素材によっては引っかかってしまってケガや転倒してしまうことも。
床に当たった時にカチャカチャと音が鳴るようであれば、爪が伸びているかもしれません。
中型犬以上の子の場合は、お散歩などで知らずに削れていることも多いです。
しかし、足腰の病気で体重が左右どちらかに偏ってしまっていたり、足の向きがガニ股・内股のようになっている場合、爪の削れ方に差が出ることもあります。
たったの1ヶ月間空いただけでも爪や足裏の毛は伸びてくるので、定期的にチェックする日を作ってみてくださいね。
【5.肥満を防ぐ】
体に脂肪がついて重くなると、動く時に体を支える関節にズシッと重さが加わり、軟骨がこすれ合って痛みが増してしまうことがほとんどです。
肥満の子で多いのは「おいしいものの食べすぎ」です。
ジャーキーや犬用クッキー、人のごはんはもちろん、歯みがきガムやふりかけなども摂取カロリーに含まれています。
関節炎を抱えていた子で、体重を適度に減らしてサプリメントなどを併用するだけでも症状が緩和されたケースもたくさんあるため、なぜ体重が増えているのか(減らないのか)をきちんと見直してみましょう。
もちろん肥満の原因に病気が関わっていることもあるため、「食事は問題ないのに…」という場合も含めて、ぜひ気軽に動物病院まで減量相談を行ってみてください。
【6.ほどよい運動は足腰の筋力維持には必要】
痛いからといって動くことをやめてしまったり、活動量が減ってしまうと、筋肉もどんどん落ちてしまい、関節の動く範囲も減ってしまいます。
関節周囲の筋肉がこわばると、最初の動き出しの時にさらに痛みが増してしまい、「痛いから動かないでおこう…」という気持ちがまた強まるという悪循環に陥ります。
それが長期間続くと自分で立てなくなる…いわゆる「寝たきり」の第1歩です。
少しでも自分の足で歩く・行きたい所に行くという愛犬の幸せを守るためにも、
● マッサージ
● エクササイズ
● ストレッチ
● 散歩の適切なコース選択
を行うサポートを、痛みを抑える治療と同時に飼い主さんが行ってあげると良いでしょう。
例えば、普段のお散歩コースをゆるい上り坂があるコースに変更し、ゆっくり上るだけでも後ろ足・お尻周りの筋肉を傷めずに強化することができます。
マッサージやストレッチは、運動前後のウォームアップ・クールダウンにぴったりですね。
雨の日や、外での散歩が苦手で運動量が確保しにくい子であれば、室内でのエクササイズも取り入れてみるとお家の中で充実した時間を持つことができます。
やってみたいなと思うメニューがあれば、Con tuttiの訪問カウンセリングやMonday わんにゃんLABOでお気軽にご相談くださいね。
取材記事やこちらのコラムはマイベストプロ神戸(神戸新聞)サイトでも公開中!