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動物病院活用術!かかりつけ病院とセカンドオピニオンの使い方

愛犬や愛猫の健康を管理する上で重要なパートナーとなるのが「かかりつけ」の動物病院!

皆さんはお持ちですか?

 

「かかりつけ」に最も重要なことは、

● 動物の普段の様子を知っていること

● 気軽に相談できること

です。

 

しかし、病気になった時に新たに活用するかもしれない選択肢に、「セカンドオピニオン」の動物病院が登場します。

 

「セカンドオピニオンってどのタイミングで必要なの?」と、相談する時期に悩む飼い主さんも多いでしょう。

 

そこで今回は、病気になった時こそ大切な「かかりつけ動物病院」と、「セカンドオピニオン」を上手に利用していただくコツをお話します!

 

 ー今日の目次ー

1.「かかりつけ動物病院」の役割

2.動物病院での診断までの道のり

3.予防医療は病気を防ぐだけではない?

4.病気になる前の定期健診はなぜ大切?

5.困った時のセカンドオピニオン!でもその前に…

6.セカンドオピニオンって実は大変!

 

「かかりつけ動物病院」の役割

皆さんが動物病院を利用するときは大きく分けて3種類だと思います。

 

● 病気を未然に防ぐための予防(ワクチン接種や予防薬)

● 病気を早期発見するための健康診断

● 病気になった時の診断と治療

 

これら3つは主に「かかりつけ動物病院」の役割です。

また、病気の診断が難しい時や、より高度な検査や治療のために、二次診療を行っている病院を紹介することもあります。

 

病気を未然に防ぐこと、病気を早期発見することは、愛犬や愛猫の健やかな生活には欠かせません。

また、病気になると心配な時が続いたり、診察に合わせて仕事を都合しなくてはならなくなったりと、飼い主さんへの負担は予防や健康診断にかかる負担を大きく上回ります。

 

動物病院の利用は「病気になった時だけ」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際に病気になった時こそ、日頃の予防と健康診断を受けてきたかどうかが重要になってきます。

 

動物病院での診断までの道のり

動物病院での診断までの過程では、

● 視診

● 触診

● 聴診

などの、獣医師が直接動物に触れて調べる検査から、

 

● 血液検査

● レントゲン検査

● 超音波検査

など、機器を用いる検査、はたまた試験的投与(薬が効くか試す、薬が効くことで診断をつける)などさまざまあります。

 

動物たちは、「ここが痛い」「気持ち悪い」といった症状を話してくれないので、獣医師が診断に必要な検査を選ばなければいけません。

 

その結果をもとに「この動物の病気はこれだ!」という診断と、治療を行っていきます。

 

予防医療は病気を防ぐだけではない?

体調の悪い動物がいたら、獣医師は症状や動物の様子、飼い主さんの話から病気を予測し、必要な検査を経て、診断・治療をするという流れが必要です。

この病気を予測する時には、普段から「予防」をしているかどうかがとても重要になってきます。

 

予防医療で代表的なものは、混合ワクチンです。

 

接種することで防げる病気は伝染病で、すなわち、どこかでもらってきた結果かかる病気です。

ワクチンは「どこでもらってくる可能性があるか」という不確定な要素を気にせず、もらった病気に対して、あらかじめ対抗するシステムを体に備えておくのが目的です。

 

フィラリア症やノミ・マダニの予防薬も、寄生した虫を定期的に駆除することで、虫に起因する病気を防ぐことが目的です。

 

このように普段から予防をするだけでも、いろいろな種類の病気にかかるリスクが低くなります。

つまり、診断する時に予想する病気から、特定の病気を除外することができます。

 

逆に、予防ができていなければ、その病気も考慮して検査を進めなければいけません。

検査には病院内で行って数十分で出るものから、検査センターで数日かかるものまであり、もちろん費用もかかります。


予防医療は病気を未然に防ぐだけではなく、病気になった時のスムーズな診断にもつながっていくのだということを、ぜひ知っておいてください。

 

病気になる前の定期健診はなぜ大切?

いろいろな検査を経て、どんな病気か診断するためには、検査の結果をきちんと読み取ることが大切です。

この時に重要になってくるのが、いつもの「体調が良い時」との比較です。

 

例えば、犬の貧血を見る数値に、「ヘマトクリット値」というものがあります。

血液検査結果では、「HCT」と書かれていることもあるでしょう。

 

参考値は、おおよそ37%~55%です。

しかしこの数字はあくまでも参考値で、この枠からはみ出したらすべてが病気というわけではありません。

元気に過ごせる状態が60%を超えている子も、35%の子もいます。

 

問題は、体調を崩した時です。

検査をした結果が37%、普段も37%程度の子であれば「いつも通りですね」という話になります。

 

しかし、普段55%程度の子であれば、

「減少しています。減少の原因が体調を崩したことと関係があるかもしれません」

となります。

 

つまり、検査の結果は同じ37%でも、普段から37%の子と55%の子では対応が変わるということです。

 

これ以外の数値でも、

● 結果が良いのか悪いのか

● その子にとってその数値が体調を崩した原因なのかどうか

という適切な判断をするためには、定期的な健康診断を行っておき、普段のその子の様子と検査の数値を知っておく必要があります。

 

病気になってからの検査だけでは、すべてを判断できない時もあるということです。


「かかりつけ動物病院」をもって予防と健康診断を行うことが、いざ病気になったとき重要なのはご理解いただけましたか?

予防注射の証明書や健康診断の結果などは大切に保管し、もし他の病院に来院するときは持参するようにすると診察がスムーズになりますよ。

 

困った時のセカンドオピニオン!でもその前に…

愛犬や愛猫が病気になった時、まずは「かかりつけ動物病院」の診察を受けると思います。

しかし、「なかなか治らない」時や、「重篤な病気」と診断された時などは、このまま通院していて大丈夫かと不安に思う時もあるでしょう。

 

そんな時に利用するのが「セカンドオピニオン」です。

 

動物病院や獣医師は、ひとりひとり異なった診療方針を持っています。

 

● 今までの経験や前例に則って診療する獣医師

● 検査を徹底し、診断のもと治療を行う獣医師

● 多くの獣医師を雇い夜間なども対応する病院

● 日中しか対応できないがアットホームな病院  

など、その形態や診察の仕方はさまざまです。


もちろん、どれが正しいとか間違っているということではありません。

「セカンドオピニオン」は、いろいろな病院があることを知った上で、診療方針の違う獣医師の話を聞き、今とは違う治療の可能性を1から探すことです。

 

そのため、今の治療を続けたいけど、

「この薬が飲めない」「もらった処方食が続けられない」

といった相談は、セカンドオピニオンではなく、今かかっているかかりつけの病院に相談をするべきです。

 

セカンドオピニオンって実は大変!

セカンドオピニオンで来院された場合、多くは今までの治療経過にとらわれ過ぎず、症状が出始めた頃からの様子を伺い、検査などをやり直したり、追加で行ったりします。

 

つまり、診断を「最初からやり直す」つもりで診察にあたります。

 

その結果として、違う病名がつき、「正しい診断がついてよかった」となることもあれば、

「今までの治療は間違ってなかった」とこれまでの治療経過を後押しされて、安心することもあります。

 

ここにたどり着くまでに、2度3度と病院を変わらなければいけない場合もあるでしょう。

 

診察をやり直すには費用も時間もかかり、飼い主さんの負担も大きくなります。

病気によっては経過が長かった分、治療期間が長くなっていることもあります。

 

また、飼い主さんだけでなく、実は獣医師サイドでも大変なことがあります。

 

まず、診断に必要な普段の状態が分かりませんし、今までの治療により、初めのころから症状が変わっていたり、隠れていたりもします。

最初に診察するよりも、セカンドオピニオンの方が診断までの過程が複雑になる場合がしばしばあるのです。

 

それでもセカンドオピニオンは必要なことです。

 

治らないままでいることも、負担の多い治療を漫然と続けることもいいことだとは思いません。

飼い主さんも動物も、しんどい時は早く何とかしたいですよね。

 

そのため、飼い主さんの負担と獣医師側の難しさを納得してもらった上で、セカンドオピニオンを利用していただければと思います。

 

 

愛犬・愛猫が病気になることなく過ごせるに越したことはありませんが、いざ病気になった時のために、「普段から信頼できる獣医師」「かかりつけ動物病院」をぜひもってください。

 

そして、かかりつけ動物病院で予防や健康診断を受けて、もしもの病気に備えましょう。

その上で、いざという時は覚悟をもって、「セカンドオピニオン」に行く心づもりをしておいてくださいね。

 

 

「動物病院活用術!‟かかりつけ動物病院”を得るための会話」では、獣医さんに相談する時のコツをお話ししています。

普段の診察の時に、参考になさってみてくださいね。

 

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